- 2012/02/27
- Category : BOOK 100
回転木馬のデッド・ヒート(村上春樹)
次は、村上春樹さんでしょう。
この人は、やっぱ、外せません。
でも、4作しか、読んでません。
『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』と、
『ノルウェイの森』と、これ。
とてもじゃないが、語れません。
どうやら、熱心なハルキストではないようです。
ちなみに『ノルウェイの森』に関しては、
以前、ある雑誌で、以下のような感想を書いてます。
何を今更と言われそうだが、『ノルウェイの森』を読んだ。
村上春樹氏にこういうギャグセンスがあったのかと楽しく読んだ。
これは純愛とも、ポルノとも、言われてるが、
【忘れてしまう】ということに対する、
哀惜、戸惑いの物語ではないかと思う。
年を経るごとに、記憶は急速に失われていく。
その記憶が恋人の思い出だったりしたとき、
それは当惑を通り越し、愕然となる。
かつて確かに在ったものが、記憶の中でさえ失われていく哀しみは、
とても筆舌には尽くしがたい。
う~ん、別に再掲載するほどの内容でもなかったような・・・
語り口が、どことなく、エラそーですね。
きっと、いろいろと気を張ってたんでしょう。
(自分をフォローすることにかけては天下一!)
やれやれ・・・。
で、ここで紹介するのは、
短編集『回転木馬のデッド・ヒート』です。
この短編集は本当に好きで、何度も読みました。
上手ですよね。静かな坦坦とした語り口調で。
雰囲気があって。落とし方も、落としてないような体温の低さで。
だから、余計に喪失感や隔絶感が際立つ感じで。
そこはかとないエロっぽさもあって。
なんか中世風の額縁に入れて、
家の長い(あったとして)廊下にでも、
飾っておきたくなる作品集です。
「あれ、いまちょっと、哀しそうな景色が目に入ったけど・・・」
みたいな。
作家を志したとき、
古今東西の名作を片っ端から読んで、感想文を書く、
ということをしました。
そのときのノートは、まだ持ってますが、
村上春樹さんの小説を読んだ強い記憶があり、
パラパラ捲ってみると、
なんと、一番目に選んでました。
日付は1983年10月25日。
『1973年のピンボール』です。
ちょっと面白いので、いくつか抜粋してみます。
一言で言うなら、
とても甘ったらしいセンチメンタルな主人公であり、小説だ。
過去への訣別と、未来への出発を、
絶望感に苛まれる現在を通して描こうとしてるのだろうが、
まったく感動とは、程遠いものだ。
無気力と無力感。存在の恐怖と甘え。アイデンティティへの欲求。
終わらないモラトリアム・・・
実にくだらない内容であり、まさに1980年代の文学だ。
過去、きっと学生運動を中心におく過去だと思うが、
25歳にもなって、「それがどうだったんだ?」とか、
言ってるやつがいると聞くだけで、気持ち悪い。
あるのは敗北感を一種の美意識と思う、
また、それに甘んじ、どっぷり浸かってしまっている鈍感な神経。
最近、よく見かける、ちょっと文学的で、哲学的でもあるが、
中身はくだらない産物という代表だ。
主人公とピンボールマシンの会話なんて、
水飴のような甘ったらしさだ。
現在を惨めったらしく生きていて、
出てくるのは、女の話と、こどものころの日々・・・
そんなものと表面的にさよならしたからって、
結局はもとの繰り返しだ。
とにかく読み終わった後、こんなに共感できない、
そして心を沸き立たせてくれない主人公はいままでなかった。
ゲッと吐きたいくらい、気持ち悪い小説だ。
ピンボール(人生)の目的・・・自己変革。
社会に合わせて安らかに生きるため、自分の本質を変えていく。
ピンボール(人生)の反則行為・・・自己表現、エゴの拡大と分析。
報復を受けるが・・・実はこれが作者の目指したい場所?
作者が表現したかったのは、
↑の取捨選択の道程と結果なのだろうが、
どうも強烈にこちらの心に震動を与えない。
それは僕の責任ではなく、作者自身の本質的な何かの欠落だ。
う~ん、すさまじい・・・・・・・・(絶句)
最後は貶すだけでは厭きたらず、攻めに転じている(笑)。
いやぁ、作家を目指してる、若い男の持つパワーって、凄いですな。
対決姿勢、満載。
でも、若いときは、このくらいの勢いがないと。
(自分をフォローすることにかけては天下一!)
やれやれ・・・。
その後、『1973年のピンボール』は読み返していません。
あれから30年近く経った、いま、読み返したら、
きっと違う感想を持つと思います。
読み返してみようかな。
・・・ま、とりあえず、いまはいいや。
同じ春樹嫌いの友達からは(とうとう呼び捨てかよ)、
『羊をめぐる冒険』はちょっと面白いよとそのとき、奨められました。
じゃ、読んでみようかなと応じたきり、現在に至っています。
上下巻という長さに、腰が引けたのだと思います。
対決姿勢なので、とても疲れるんです。
ただ、その後、作家になって、
『風の歌を聴け』を読んだとき、
「あれ? そんなに悪くないじゃん」って思ったのを憶えています。
特に最初と最後のところ。
何やら箴言めいたことが書かれてるところ。
春樹さんお得意の決め台詞たいなことが書かれてるところ。
(ちょっと、言い方、おかしい?)
すみません、手元に本がないので、本当に記憶だけで書いています。
本は荷物になるので、定期的に、
また、引越のときに、だいぶ処分しました。
だから、いま、うちの本棚にあるのは、選抜された本だけです。
思い出の本や、大事な本や、こどもが大きくなったときに読ませたい本や。
ごめんなさい、春樹さんのは、
いま、採りあげているこの本だけです(・・・といっても、読んだのは、
4作だけか・・・ああ、違った。あと、旅日記?『遠い太鼓』もある。
あれも好き)。
で、どこまで、書いたっけ?
もう、いいや。
予定外に長くなってしまった。
じゃ、最後に。
自分は、
村上春樹さんの文学が好きだという一群の男たち、
何やらカッコつけてる、スノッブな男たちが昔から好きではありません。
だって、つまんねーやつらが多いんだもの。
おいおい、それでシメるのかよ?
やれやれ・・・