比留間久夫 HP

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ハッピー・バースデイ

『ハッピー・バースデイ』は、
いつの日か、続編を書きたいなと思っています。
ストーリーは、ある程度、頭の中にあります。
ただ、小説を書くって、
自分の場合、かなりヘビーなものだから、
やはり、ちょっと、シリゴミしています。
でも、書きたいな。
書きたい書きたいって思いが、
自分の中で、強く大きくなるのを、
期待して、待つことにしよう。

では、月刊カドカワの自作品解説から、   

  『ハッピー・バースデイ』


2丁目で遊んでたころ、
タマを取りに、つまり、性転換手術の、
第一歩を受けに行くんだって、
相談してきた10代のニューハーフの友達がいたんですよ。
これは、そんな彼(彼女?)をモデルにした、
書き下ろし小説です。

当時、ゲイの子が登場する小説や漫画って、
トリックスターのような、
作者にとって都合のいい役割でしかないような、
パターンのものがやたら多くて、
それに対してのアンチテーゼとして、
書いたってところもあるんです。
僕が知ってる実際のニューハーフの子たちって、
もっと普通で、自然っぽかったから。
人生のメインテーマは、
「女よりも誰よりも美しくなること」って言っても、
過言ではないくらい。
あとは、好きな男の話。
「結局、最後は本当の女のところへ戻って行くんだわ」
なんてね。

そういう彼女たちを、
観念とか、ステレオタイプな人物造型にハメることなく、
戯画化することもなく、
ありのまま、ごく普通に描きたいと思ったんです。
だから、いわゆる文学的なわかりにくい言葉は排して、
自然な口語体を使って書くように心がけました。
登場キャラに難しい言葉で、
論理や思想を語らせるんじゃなくて、
行動や、普通の会話の積み重ねによって、
それらが行間に、影のように、滲み出てくれればいいなと思って。
ただ、いま、読み返すと、
主人公に対して、思い入れが強すぎて、
客観的な距離がとれてないぶん、
その目論見は成功してないかなという反省もあります。
あと、デビュー作がああいうものだったので、
今度はストーリー性のあるものをと、
意気込んだ作品でもありますね。

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