比留間久夫 HP

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Anarchy In The U.K

『支配する者のない世界』


おれは神を必要としないし信じない
おれは無政府主義者だ
すげぇ欲しいものはないけれど
手に入れる方法ならわかってる
目につくもの 片っ端からぶち壊したいんだ
だっておれはアナーキストになるんだから
奴隷じゃなく

日本もいつか惨憺たる有様に
そんな日が来る たぶんな
めちゃくちゃにしてやる 交通もマヒだ
お前は相変わらず消費天国の夢から醒めないだろうけど
おれはこの世界を混沌とした自由な場所に戻したいんだ

自由を取り戻す方法はいくらでもある
おれはとっておきの 最後の切り札を使う
敵を利用してやるのさ
やつらの計画に乗じて この世界を解放してやる
おれはアナーキストになる
それしか道はない

じゃなきゃ、死んだほうがマシだ

お前は極右なのか?
それとも極左か?
まさかカルトか? やっぱり民主主義か?
たぶん 全部だろう
自作自演の壮大な猿芝居の始まりさ

すべてを粉々に叩き壊すんだ
一度すべてを灰燼に帰すんだ
言ってることがわかるかい?
破壊なくして再生はないんだ
そこからやっとまともな世界が始まるんだ
アナーキーな世界を創るのさ
簡単さ やつらの言うことを聞かなきゃいいんだ
 



先日、車に乗ってラジオを聴いてたら、ピストルズの『anarchy in the UK』がかかった。また来日でもするのかな(笑)と思ってたら、映画『パンク侍、斬られて候』のテーマソングだという。
http://www.punksamurai.jp/


町田康(敬称略)の小説は自分には少々とっつきにくくまともに一冊読んだことがない。パンクス時代の彼は知っている。映画に出てた彼も知っている。ともに圧倒的で、敬愛してます。
さすがに『INU』の曲を使うのは無理だったのかな。『つるつるの壺』とか破壊力があっていいと思うけど・・・でもまあ興行的にピストルズの有名な曲を使ったほうがインパクトがあるし、合ってると落ち着いたのだろう。
・・ということで、どんな事が歌われてたのかとあらためて気になって調べてみた。
前に『god save the queen』を訳したときにも思ったが、当時はピンともシャンともこなかった遠い国の絵空事のような歌詞が、現在はリアルに感じられて驚く。もちろん、いまだにリアルに感じられない人たちもいっぱいいるだろうが、あれから40年たって、事態はいよいよ深刻化表面化し、全世界的になってきたということだろう。
ジョニーロットンの書いた詞をいまこうして勝手に意訳してゆくと、決して「無軌道な破壊衝動に駆られた若者の苛立ちや不満や反逆」ではない。自分というものを理不尽に踏み潰そうとする力への当然の反応であり意見の表明だ。「くそったれ」とやたら叫ぶのは相手があまりにも大きく強いからだ。話が普通に通じるのなら、唾を飛ばすのではなく、対話を選ぶだろう。


        (2018.5.14記)

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